中国製自転車製造における孤軍奮闘記録−110−技術編−鉄フレームとアルミ合金フレームの製造上の違いご存知?

自転車のフレームで、鉄製フレームとアルミ合金製フレームとで、製造上の一番の違いは何かご存知?!
それはアルミ合金製フレームには『T4』、そして『T6』と呼ばれる熱処理を施さねばならないことです。何?初めて知った!
今は日本には自転車工場が存在しないのでは。そしてアルミ合金フレーム工場はなおさら存在しないのでは?
そして皆さん、現在はこうした工場を日本で見る機会は殆どないのでは?皆さんに身近な自転車でありながら、工場を見る機会がないということは
非常に残念です。理解を深めてもらえないことは非常に残念です。

『T4』、『T6』と言う熱処理を簡単に説明します。
アルミ合金を使ったフレームで、溶接の出来上がったフレームは、その時点では強度不足で実際の使用には耐えません。
そこで初めに『T4』と言う熱処理をします。
これは自転車フレームの場合、500度近辺に加熱し、ある一定時間保持し、その後焼き入れ用液体につけて冷却します。
500度近辺に加熱する意味は、組織内の合金濃度の分布を均一化させておいて、急冷させることにより、この均一状態を維持させることです。
この状態ではまだ実用に耐える強度はありません。ですからこの時点で通常、フレームの校正を行います。
その後『T6』処理に入りますが、温度は200度近辺。そして一定時間その温度を保持させます。
そして今度は自然冷却をさせます。そして特殊な硬度計を使い、硬度測定し、数値から判断して、アルミ合金材の強度確認をします。
この時点が終了した時点で、ハンガー部分のねじ切り、及び、ヘッド部分の座繰り加工を行います。
『T6』の意味は『T4』処理のものを焼き戻し処理をすることにより、時効効果処理をして、機械的強度を改善保持させる役目です。
もっと簡単に言うと、アルミ合金は焼入れ『T4』したのでは機械的強度は改善されず、焼き戻し『T6』して初めて機械的強度が改善されるのです。
それは表面硬度を測ることにより確認する事ができるのです。お分かりかな?
ですから『T6』処理されたものはバネのあるフレームとなりますから、この時点ではもうフレーム校正はできません。
この処理、管理が悪いと大きな問題を発生させてしまいます。フレームの見えない部分に4とか6とかの刻印があるかも?
一部にわざと曖昧な表現をしています、ごめんなさい!