中国製自転車製造における孤軍奮闘記録−121−技術編−フレーム及び前ホークのロー付け技術


自転車のフレーム及び前ホークの溶接方法は大きく分けて二種類と考えます。
1.電気溶接(アルゴン溶接)
2.ロ−付け
1.は不活性ガスのアルゴンを吹き付けながら、つまり周囲の空気(酸素)との化合を防ぎながら電気溶接する方式。
2.ロ−材と呼ばれるシンチュウ材を使用して、酸素およびプロパンガスを使用して溶接する部分をバ−ナ−で一般には、800度から900度に加熱して、
  フラックスと呼ばれる補助材を使用し、ロ−材を隙間に流し込む方法です。
中国では1の方法が多く採用され、フレームが製作されています。
そしてフレーム上の小さな部品においては、ロ−付け方法も採用されています。
日本では長年、ロ−付けと呼ばれる方法で、ラッグと言う継ぎ手を利用して、フレーム、及び前ホークが生産されて来ました。
ここで、現在は日本での自転車生産は殆どなくなりましたが、中国ではこのロ−付けの基本的技術、基本的ロ−付け意識が、極端に不足していると考えています。
ロ−付け技術は基本的に、隙間に流し込む方法です。付ける部品、そして付けられる部品双方を同じ一定条件温度に加熱することが基本条件です。
皆さん思い出してください!ハンダ付けを。
双方が同じ温度にならないと、ハンダは乗らないのです。そしてペーストを使います。
これロ−付けと同じです。
ハンダ=シンチュウ材。ペースト=フラックスです。
この関係があまり理解されず、シンチュ−材は、おはぎのあんこと一緒で
上っ面にくっついているだけ。つまり付ける側、付けられる側双方の接着強度には殆ど役立たないことになります。
皆さんの会社、あまりこうした問題から来るクレームを受けたことがないかも?
しかし、ホ−ククラウンを利用したロ−付け前ホークで、クレームが発生した記憶があるのでは。
そうです!シンチュー材が、双方の部材内に溶けて流れ込んでいないのです。
ユニクラウンと呼ばれる前ホークが主流になった今ですが、まだ問題が発生しているはずです。ロット不良の可能性大です。気をつけて!
ちょっと難しいかな?!雰囲気だけでも、左写真はロ−付け、右写真は電気溶接風景。