中国製造自転車での孤軍奮闘記録−75−私が一番悔しいとき、そしてもう辞めたいなと思うとき

自転車関係、中国、そして日本にたくさんの製造会社、そして販売会社がありながら、自転車を知っている人、自転車製造知識のある人が少ないのでは。
というよりいなのでは。(ここで私がこの二つを完全に兼ね備えているという意味ではありません。)
ですから常に、これらの自転車関係問題に対して、説明説得をすることは、時として困難を極める事になります。
外国語のわからない人に、外国語を話しているような物で、時として一向にらちが空かないのです。
こんなことなんでできないの!自転車は機械加工ではないのです、前にも述べたように、鍛冶屋仕事なのです。手仕事なのです。
特別なものを除いて0.1mm、0.2mmを要求されても出来ないのです。
出来ないというより、安定した品質確保が出来ないといったほうが正解でしょう。
前にも書いたように、自転車は身体で覚えるもの、身体で覚えた経験のない人に、理解してもらうことは不可能に近いのです。
ましてや身体で覚えたことのない人には、権力者が多く、これを納得させることは労力を要し、困難極めるのです。
そして相当の覚悟がないと、自分の意見を相手に理解させることは困難なのです。相当の覚悟とは、仕事から私を下ろそうとするという意味です。

私も自転車の仕事をもう40年してきましたが、こうした問題にぶつかると、いくら自信信念を持っていても、時間の無駄を感じるのです。
独りよがりでしょうが。
定年後の時間の無駄は、初めてあなたが定年になって、自分の技術を指導する時になって、初めてわかる事だと思います。
そのくらい定年後の時間は大切なのです、貴重なのです。
こうした苦労が実を結ばないときに、私は日本に帰りたいな、辞めたいなと思うのです。
残りの人生、くだらないことに時間を使いたくないのです。
ここが私、職人の馬鹿さかげんでしょう。十分理解はしているのですが。
年をとってくると、ここまで来た経験が邪魔をして、頑固になるのでしょう。