中国製自転車製造における孤軍奮闘記録-14-自転車は進化したか?

日本での自転車進化は、部品メーカーの部品開発が、大きな大きな役割を占めてきました。
例を挙げると
1.ハブに発電機能を合わせた、一般にハブダイナモと呼ばれるもので、これに光センサーを組み込むことにより、環境状況の変化により、
外界が暗くなる事により、自動的にライトが点灯する。この機能を持った自転車が増えたことにより、
夜間等の安全性向上に大きな影響を与えていること。
2.従来よりブレーキ形式は、リムブレーキと呼ばれる細い鉄棒で力が伝達され、リムを制動する方式。
そして一般にバンドブレーキと呼ばれる2方式でしたが、近年はリムブレーキは姿を消し、そしてブレーキ本体の内部構造に
鉄のローラーを組み込み、バンドブレーキよりもより制動安定性を高めた部品も、多くの車種に使われるようになったこと。
このことは従来より自転車販売会社の悩みの種であった制動時の『キーッ』という雑音問題の消費者クレームを、
自動的に減らす事につながったこと。
しかし近年は自転車販売価格の低迷からか、部品メーカーも一般自転車においての部品開発に、お金をかけなくなった?関係上か、
主だった自転車の進化は感じられなくなったことは、非常に残念で、部品メーカーとしても、やはり日本の自転車の品質問題改善、
機能問題の改善の、けん引役を果たすべきと考えています。
また、各組み立て工場としては、販売会社としては、従来より長い間使用されてきた、
コッターピンを呼ばれるピンをクランク軸に打ち込む構造のギヤクランクが、殆ど姿を消し、コッターレスと呼ばれる、
ナット及びボルトで、ギヤクランクをクランク軸に固定する方法のクランクが、採用されています。
このこと自体はクランクの脱落防止に大きく貢献しているわけですが、やはり中国生産品においては、クランク軸加工精度及び、
クランクの加工精度が安定しないことによる、問題も各販売各社、経験しているのでは。

また、自転車生産における悩みの基本は、いかにして螺子類のトルク(締め付け力)を安定させるかが、未だに大きな課題なのです。
その意味でナイロンナットの使用は非常に重要なことで、約40年ほど前から自転車に使用され始めたと、私は記憶しています。
つまりナイロンナットの使用は『バカ除け』と勝手に読んでいますが、つまり仮にナットの締め付けトルクが弱くても、規定値に
達しなくとも、ナットが緩んで部品が脱落するのを防ぐという意味で、効果が絶大なのです。
近年においては、どの自転車製造メーカーにおいても、インパクトレンチと呼ばれる空気圧力を利用した工具で、
ナット及びボルトを締め付け後、プリセット型トルクレンチ(指定トルクに達すると『カチッ』という感覚で作業者に伝えます)
で、再度締め付け力の確認を行うようになってきていますが、これで全て問題が解決するわけではなく、トルク管理は、
下限ばかりではなく、上限のトルク管理も重要になるのです。
そして何よりも問題を防ぎにくいことは、締め忘れを完全には防止するこれといった方法がないのです。
このことは各自転車生産工場は、現在の自転車生産方式においては、完全に発生を防止することは、不可能に近いことなのです。
このことは読まれているある方においては、理解しにくいでしょうが。
また自転車のJIS規格においても、強度面での確保がなされるなら、柔軟な規格にされることが今後の部品開発においては、
更に品質の優れた製品開発が加速されると考えています。
というのも、自転車のある部品においては、やっと強度が確保されている物も存在するのでは?
言い換えると強度に余裕を持たせる幅が、少ない構造と感じています。
つまり私の言いたいことは現在の中国製部品においては、必ず強度的にも多くのバラツキが存在するのです、存在しているのです。
変な話なのですが、このことを考慮に入れての日本販売自転車は製造することが望ましいと考えています。
今後また日本で生産が開始されるようなことがあっても、まだまだ先の話では?
このことはある意味消費者を守ることになると考えます。理屈がおかしいことは十分承知しています。
JISを変えるべきという意味ではありません。