中国自転車製造における孤軍奮闘記録−314−どこの工場でも共通している重要問題の一例

私、どこの中国自転車工場でも共通している重要問題は何かと聞かれれば、それは塗装前処理問題と答えます。
勿論、他に発生問題はほとんどが共通しているわけですが、重要工程問題として取り上げると塗装前処理問題です。
その原因はこの工程の意味を作業者が理解していないことにあるのです。
鉄パイプの表面に、リン酸塩の皮膜をつけるもので、この処理の工程で錆びを落とす為に硫酸等を使います。
その後の水洗い、そして皮膜をつけた後の水洗いが不完全だと、錆を発生させる事になります。
この皮膜処理は一時的にさびを抑えるだけで、そして塗装の密着性を高める為の処理ですから
皮膜処理後の表面が酸を帯びていたり、処理後塗装するまでの放置時間が関係して、錆を発生させることになります。
またフレーム設計時に、この前処理を十分に考慮した設計にしておかないと、この処理に問題が出ることになります。
私の経験した全ての工場で、こうした問題が常に発生していることは、この工程の意味、そして重要性が理解されて
作業されていない事になります。
実際の作業担当者に聞いても、問題発生に対しての原因を『知らなかった』という答えが返ってきました。
この処理の設備にも大きな大きな差が工場によってあるのです。
また中国の水の供給も関係していることが考えられます。
塗装前処理に問題があれば、その程度にもよりますが、早くて3日、そして数ヵ月後に塗装面を突き破って表面に錆びが出るはずです。
そして鋼管内部の問題であれば経過年月によっては知らないうちに、表面から見えないパイプ内部に錆びによる劣化が進んでいきます。
塗ってしまえば分からない、または、出荷優先というこちらの考えが影響していることも私は否定しません。