中国製自転車製造における孤軍奮闘記録−47−『当たり前』の難しさ

私も今年62才。中国指導における問題で多くの悩みがありました。
それは物づくりの考え方。若い人はマニュアルの充実に力を入れます。
私はこれを否定する考えは全くありません。
問題はマニュアルに重点をおきすぎる点です。私は精神面に重点をおきます。この差は非常に大きくお互い近寄ることは出来ませんでした。
マニュアルが完備していれば誰が中国へ指導に行っても、検査に行っても当たり前のものが出来ると考えています。
これ本当でしょうか、本当のはずがないのです。今なお多くの問題がほとんど解決していないはずです。これ断言します。これはなぜですか!
つまり若い人たちには経験も当然乏しく、そして指導力もありませんから、このマニュアルに頼ることになります。
しかし中国の生産実情は全く違うと考えていますから、いつまでたっても問題は収束しないはずです。
自転車は見たところ簡単ですが、非常に経験を必要とします。日本市場で販売するに当たっては経験を必要とするのです。
かといって必要以上な要求を生産側にすることは許されないことです。何をしっかりと守るかが重要になってきます。
ここに『当たり前』の品質確保の難しさがあるのです。日本人の『当たり前』と中国人の『当たり前』、同じでしょうか。
これマニュアルでは表現できません。良い悪いではなしに、生活風習が違う中で、どのようにしたら日本の『当たり前が』
確保出来るでしょうか。やはり常に精神面での教育が欠かせないことになるのでは。
これが出来なければ、常に日本人が生産現場に張り付いていることになります。ですから日本人が張り付かなければならないのです。
まずは理屈ではなしに、中国へ行ってください、そして最良の方法を考えるべきです。
理屈で考えている以上、これから先、自社の自転車品質は確保できないはずです。
自転車に限らず、中国の中小の企業は皆、品質で苦しんでいます。これには中国企業側にも解決できない、
解決しにくい多くの要素が含まれていることを、中国経営者側も知っている事です。
こうしたこと、ももっともっと日本側勉強すべきです。
これをせずに『なぜ!』『なぜ?』では一向に日本企業進歩しませんし、儲からないはずです。
まずは日本企業、若い人に自転車を勉強させ、中国を経験させることです。ある意味もう手遅れかも。
日本側に教えられる人がいないかも、これに気づく人もいないのでは。
自転車業界どんどん泥沼にはまる前に、もっともっと頭を使う必要があるのでは。