中国自転車製造における孤軍奮闘記録−305−油断してはならないフレームの溶接強度。

私の経験からも、どう見てもフレームの破断は考えられないことが時折起こります。
必ずそれに対して再度フレームの強度試験を行うわけですが、主にフレームの疲労強度を確認する振動試験を行うわけですが、
JIS規格の二倍三倍の振動回数でも破断は認められません。
何が原因?
考えられるのはフレーム溶接の鋼管加工精度、そしてフレームの溶接強度、つまりフレームの溶接技術です。
日本からの中国工場訪問に対しても、組み立て生産現場に対しては、あれこれと注文をつけるのですが、
フレーム溶接現場、塗装前処理現場、塗装現場に対しては、ほとんど注文を付けられることはありません。
まあ無理のないことですが、見ても分からないからでしょう。
何の部品もそうですが、問題発生に対して、発行される試験成績書は、生産される全ての品質証明ではありません。
もち論そんなことはできません。
溶接は個人技なのです。素人に近い経験の少ない人から、
ベテランまでいろいろな人たちが各部の溶接を担当します。

出来上がったフレームも品質は同じではないのです。これ当たり前です。
私、自転車の最大の敵は錆び問題同様、自転車でこれまた最大の敵は、
フレーム溶接強度なのです。

でもこの問題一台一台振動試験機にかけ強度を確認するわけには行きません。
常にフレームで一番重要な、そして怪我につながり易いヘッド部の溶接状態の確認に心がけています。
その兆候があるかどうか常に注意しています。
パイプの加工状況、ティグ溶接のオーバーラップと呼ばれる問題、
アンダーカットと呼ばれる問題,溶け込み不良等に。写真は何の問題ですか?